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 いろんなタイプの人がいるように、猫にも猫の数だけ個性がある。家でおとなしくしているのが好きな猫もいれば、野生の血が騒ぐかのように外で大暴れするのが大好きな猫もいる。

 今回ご紹介する主役のデクスターは自由きままでいるのが好きな猫だった。そんなデクスターが頑なに守った自由の先に伝えたかったものは何だったのかお話したい。
 

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 デクスターはあまり誰かになつくタイプの猫ではなかった。7月のある日、フロリダ州オーランドにあるエリック・サビオ夫妻と1歳の子供パーカーの住む家の庭にふらりと現れた。それ以来、夫妻はその猫のことを気にかけ、1日2回食事を与えるようになった。

 そのかいあってか、猫も頻繁にサビオ夫妻の家の庭に来るようになり、サビオ夫妻は猫にデクスターという名前をつけた。そうして飼い猫として飼おうと試みるが、デクスターは気ままな猫らしく食事時のみ顔を出すだけの関係を好んでいた。デクスターは決して家猫にはならなかった。

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 しかしオーランド周辺にハリケーンマシューが接近するというニュースを受け、一時的にデクスターを強行的に保護することに。ハリケーンが去った後、デクスターの意見を重視しデクスターは再度自由な猫となる。

 しかし、ハリケーン襲来中の間とはいえ、サビオ一家は猫と一緒の生活を知ってしまった。サビオ一家はあっという間にデクスターに愛情を抱いてしまっていたのだ。

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 しかしある日を境にしてデクスターの訪問が途絶えてしまう。サビオ夫妻は、近隣の道路の交通量の多さなどを考え不安を覚え、デクスターが保護されていないかシェルターなどの保護施設のホームページを探した。「往来の激しい道路が裏にあるのでデクスターに何かあったら…と妻は怯えていました。」とエリックさんは語る。

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 そんな日々が続き、とある土曜日にアマンダさんはある保護施設のフェイスブックページに、デクスターに非常によく似た猫の写真が掲載されていることに気付く。そうして急いでエリックさんがその猫を迎えに行った所、デクスターによく似た異なる猫であることが発覚する。

 発覚した事はそれだけではない。その猫がその日安楽死させられる予定であるという驚愕の事実がエリックさんに伝えられる。そんな事実を知ってか知らずか、猫はエリックさんの足元に額をこすりつけ可愛い鳴き声を上げる。

 愛着のわいた猫とは違うが、そっくりな猫が自分の足元で無邪気に鳴き声をあげていて、今日死のうとしている。それを無視して帰宅できる人間がいるだろうか?きっといない。そしてもちろんエリック・サビオさんにもそんなことはできなかった。

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 デクスターに愛情を抱いたのはエリックさんとアマンダさんだけではない。二人の愛息子パーカーも例外ではなかった。デクスターはパーカーの最初の動物の友達だった。

 そんなパーカーがある日、お昼寝から目覚めると家に見慣れぬ段ボールがあるのを発見する。パーカーが興味を持ち、段ボールを開けてみるとそこからはデクスターにそっくりな猫が元気いっぱいに飛び出してきた。

 猫の名前はオリー。件の安楽死させられる予定だった猫だ。あの後オリーはエリックさんに引き取られ、サビオ一家の仲間入りをすることになった。

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 オリーはすっかりサビオ一家に懐き、幸せな家猫となり家族に笑顔と幸せを振りまいている。一方、デクスターはやはりあれ以来サビオ一家の庭先には現れない。しかしサビオ一家は愛する風来坊デクスターがいつ帰ってきてもいいように今もなお軒先にごちそうを準備しているのだという。

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 デクスターは「自分は大丈夫だから」と伝えたかったのかもしれない。おかげでオリーは命の灯が消える直前でサビオ一家にもらわれることとなった。遠く離れた場所にいてもしっかり帰る場所はある。自由気ままな流れ猫のデクスターの無事と幸せを祈ろう。

via:Little Boy’s Family Loses Cat, But Saves One Who Looks Just Like Him translated kokarimushi / edited by parumo