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 タコはとても知能の高い生き物で、ニンゲンの顔を個別に認識できたり、短期記憶と長期記憶の両方を持っていたりするとの説もあるようだ。一説によると犬よりも賢いんじゃないかと言われていたりもするらしい。

 自分を助けてくれた人のことはちゃんと覚えていて、お礼を言いに来た……なんて話もあったよね。



 そんなタコは、命がけで子育てをすることでも知られている。今回は卵を産みつけたチューブを守ろうとするタコのお母さんと、彼女を助けようとする人間の女性のお話をご覧いただこう。
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Woman Spends Months Helping An Octopus Protect Her Eggs | The Dodo

卵を産み付けたチューブを守るお母さんタコ


 オーストラリアで暮らす海洋生物学者のシェリー・マリスさんは、毎朝ビーチを散歩する習慣があった。2021年のある朝のこと、彼女は波打ち際で、プラスチックのチューブの中に入っているタコを見つけた。チューブの中には、卵がびっしりと産みつけられていた。

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 チューブは何らかの理由で、浜に打ち上げられてしまったらしい。タコは子どもたちを守りながら、チューブをなんとか海に押し戻そうとしていた。

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流されないように重しをつけて海に返す


 そこでシェリーさんは、少しタコのお手伝いをすることにした。チューブにブロックの重しをつけて、簡単には浮き上がらないようにしてやったんだ。

 そしてこのタコに「ケイシー」という名前をつけた。ケイシーはケルト系の名前で、子供たちを守る勇敢な戦士を意味するんだそうだ。

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嵐が再び運び去ったチューブを2㎞先で発見


 だが大自然はそんな母親にとっても過酷だった。ある日ひどい嵐が襲い、シェリーさんはケイシーの様子を見に行けなかった。

 ようやく風が落ち着いたのを見計らって海に潜ったシェリーさんが見たものは、砂に埋まった重りのブロックだけだった。チューブも、そしてケイシーの姿も見当たらなかった。嵐がすべてを持ち去ってしまったようだった。

「もう二度とケイシーに会えないのかもしれない…」諦めと失意の中で時は流れた。そして2~3週間が過ぎた頃、奇跡が起こった。最初の場所から2㎞離れた海岸で、シェリーさんは海藻の上にいるケイシーと彼女のチューブに再会したんだよ!

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 シェリーさんは嵐が来ても転がっていかないように、しっかりと重りに固定して、再びチューブを海に戻してやった。ケイシーは以前ほどシェリーさんを警戒していないようだった。

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無事に赤ちゃんが誕生したよ!


 そして、ケイシーが守っていた卵たちは無事に孵化の時を迎えた!
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 1匹、また1匹と、タコの赤ちゃんが誕生しては泳ぎ出す。シェリーさんの助けがなかったら、赤ちゃんたちはもちろん、ケイシーのいのちも危険にさらされていた可能性もある。

 タコは知能の高い生き物だという。きっと2回も自分を助けてくれたシェリーさんを、「このニンゲンは大丈夫」と認識してくれたのかもしれないね。

 ところでこのチューブは、タコの繁殖を促すために海底に撒かれたものらしい。ケイシーの救助から1年後、ふたたびシェリーさんは卵を産み付けたチューブとタコを救助していたよ。


 シェリーさんはこの度、「Octopuses - Underwater Wonders」というステキなタコについての本を出版予定だそうだよ。120ページにわたって、美しいタコの写真なんかが掲載されているんだそうだ。ちょっと見てみたい気もするね。

written by ruichan

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