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 アメリカのマサチューセッツ州で、動物たちの保護施設Newhouse Wildlife Rescueを運営しているジェーン・ニューハウスさんのもとへ、ある日1匹の狐が連れて来られた。ホープと名付けられたこの雌の狐は前庭疾患を患っており、首をまっすぐに保つことができなくなっていた。

 ホープはずっと独りで過ごしていたんだけれど、ある時彼女の生活は劇的な変化を遂げることになったんだ。
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Kind fox adopts babies who lost mom

 この施設で保護されて6か月。ホープの体調はだいぶ良くなり、頭がいつも斜めになっていることを除けば、すっかり元気になって来た。

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 Newhouse Wildlife Rescueでは、ケガをした動物たちの他に、親を失った子供たちを育て、野生に返すミッションにも取り組んでいる。ある日ジェーンさんのもとへ、3匹の子狐たちがやって来たんだ。

 子狐たちはきょうだいではなく、それぞれが別の理由で親を亡くしていた。
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 最初、ジェーンさんはホープと子狐たちを一緒にするつもりはなかった。子狐たちにとってホープは危険だと思ったからだ。

 だが、隣同士の区画で暮らすうちに、子狐たちはホープのもとへ行きたがって地面を掘りまくるようになった。そしてホープの方も、子狐たちの方へと、やはり地面を掘り始めたんだそう。

 そこでジェーンさんは万一の場合に備えてホープの口を固定し、万全の態勢を整えた上で、彼女と子狐たちを会わせてみた。

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 その結果、心配はすべて杞憂に終わった。そこには恐れや警戒はなく、子狐たちはすぐにホープに甘えまくるようになった。まるで本当のお母さんに甘えるように。

 そしてホープの方も、自分の子供たちを育てるかのように子狐たちの面倒を見始めた。もしかしたら、かつてホープにも子育てをした経験があったのかもしれない。

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 そして驚くべきことに、3日も経つと子狐たちは、ジェーンさんたちニンゲンを警戒し、近寄らなくなった。実はこれこそが、ジェーンさんがホープに期待した「しつけ」だったんだ。

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 いずれ野生の世界に帰ったとき、ニンゲンに育てられた狐はヒトに対する警戒心がなく、危険な相手にも近づいてきてしまうかもしれない。だが、ニンゲンには「ニンゲンは危ない!」と教えることはできないんだ。

 ジェーンさんは、いずれホープと3匹の子狐たちが、いっしょに森へと帰る日が来るといいなと思っているんだそうだよ。


 ホープと子狐たちの様子は、Instagramで折に触れ更新されているよ。良かったらぜひ訪問してみてほしい。


written by ruichan

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