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 ケニヤで親を亡くしたアフリカゾウの保護に精力的に取り組んでいる、Sheldrick Wildlife Trust (SWT)で、今年の3月12日に1頭の赤ちゃん象が誕生した。

 今日はこの赤ちゃん、ムワニの誕生と、お母さんのムレラが保護されたときの様子を紹介しよう。ちょっと長めの動画なので、ゆったりと見てもらえたら嬉しいよ。
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Murera's Rescue | Sheldrick Trust

密猟者の罠にかかり、歩けなくなった小象を保護


 お話の発端は2012年に遡る。当時ケニアでは、アフリカゾウの密猟が大きな問題となっていた。2月21日のこと、DSWTはメルー国立公園のマネージャーから、罠にかかった小象がいるとの通報を受け、救助隊が現場へ駆けつけた。

 やがて発見されたのは、2歳になったばかりの雌の象だった。毒を塗られた罠に挟まれて足をケガしていただけでなく、群れと合流しようとしたせいか股関節の脱臼まで引き起こして、動けなくなってしまっていたんだ。

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 獣医は安楽死を勧めたが、DSWTスタッフの献身的な看病と、彼女自身の強い意志が奇跡を起こした。この象…ムレラは痛みを乗り越え、すっかり元気になったんだ。

孤児の象たちのためにサンクチュアリが作られた


 だが足を引きずるようになってしまったムレラは、野生の世界で水や餌を探しての長距離の移動には耐えられない。そこでDSWTでは、ムレラのためにウマニ・スプリングスというサンクチュアリを新たに設立。

 その後このサンクチュアリは、ムレラを群れのリーダーとして、孤児の象たちが暮らすオアシスへと発展した。


Mwana, Murera's Miracle Baby

愛する仲間を失ったムレラは、悲しみのあまり4日間姿を消す


 ここで仲間たちと穏やかな日々を送っていたムレラだが、2021年5月、彼女を新たな悲劇が襲う。ムレラが実の息子のように、親友のように愛していたラガードという雄の象が、銃弾によって命を奪われてしまったのだ。

 悲しみに暮れたムレラは、ウマニ・スプリングスから姿を消した。その4日後には何事もなく戻って来たので、DSWTのスタッフは喪に服するために群れを離れたのだろうと思っていた。

 だがその数か月後、スタッフたちはムレラが妊娠していることに気づいたんだ!

孤児だったムレラがお母さんに!だが授乳の仕方がわからない


 22カ月という妊娠期間が過ぎ、2023年3月12日にムレラは女の子を産み落とした。この子象には、スワヒリ語で「子供」を意味する「ムワナ」という名前が付けられた。

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 ムレラはムワナを非常に可愛がり、たっぷりの愛情を注いでいたが、ひとつだけ問題があった。群れから離れて育ったムレラは授乳の仕方がわからないのか、ムワナにお乳をやろうとしなかったのだ。

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 お母さんのお乳を求めるムワナだが、ムレラは娘がお乳を飲めるような体勢を取ろうとしない。やむなくスタッフたちが搾乳して、哺乳瓶で育てることに。

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 幸いにして、スタッフには自宅で家畜の搾乳をした経験のある者も多く、全員が交代で、昼夜を問わずムワナの面倒を見ることになった。

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授乳の仕方を覚えたムレラ!赤ちゃん象はすくすく育つよ


 そしてムワナが生まれてから11日目。ムレラは突然、足を開いてムワナがお乳を飲める体勢をとった! それからはスムーズに哺乳瓶からの移行が進み、ムワナはすくすくと育っているそうだよ。


 実はムワナが生まれたとき、野生の雄の象が3頭現れて、母子の周囲を警戒するかのように守っていたんだそうだ。そのうちの一番心配そうだった一頭がムワナの父親ではないかと、スタッフたちは考えているようだよ。

 こちらは最新の母子の様子。ムレラとムワナ、そして象の群れの様子はInstagramで日々更新されているよ。ぜひ見に行ってみてほしいな。


written by ruichan

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