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 パコ・ヒメネス・フランコさんは、これまで20年間、メキシコのバハ・カリフォルニア半島にあるオホ・デ・リエブレ潟湖で、ホエールウォッチングツアーの船長を務めてきた。

 彼はある日、ボートに近づいてきたコククジラの体表にびっしりと付着しているクジラジラミをとってやった。するとそのクジラは「もっと取って」とでもいうように、何度もパコさんにおねだりするようになったんだよ。
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 パコさんが海に出ると、毎回のように近寄ってきては、「またコレ取ってちょうだい」とねだるクジラ。

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 画像からはわかりにくいかもしれないが、クジラの体表にフジツボに混ざってくっついている赤みがかった物体がクジラジラミだ。

「シラミ」と名がついてはいるが、陸上のシラミの仲間ではなくて、甲殻類の一種である。生まれてから死ぬまで、クジラの皮膚に貼りついて過ごす生き物なんだ。

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 陸上のシラミとは違い、クジラジラミが主に餌にしているのはクジラの死んだ皮膚なんだそう。よく、クジラの肌が白っぽくなっているのを見たことがあると思うが、あの部分が死んだ皮膚、ニンゲンで言えばかさぶたのようなモノなんだって。

 クジラジラミはそのかさぶたの部分を覆うように貼りついていて、例えばセミクジラ一頭には、なんと1万匹ものクジラジラミが寄生しているんだそうだよ。泳ぐスピードが比較的遅いセミクジラやコククジラが、彼らの主な寄生先なんだって。

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 ただし、これが寄生なのか共存なのかはよくわかっていないらしい。だから、クジラジラミを取り除くことがクジラにとって良いことなのか、まだ正解は出ていないんだ。

 何度かマランダーでも記事にしたことのある、クジラの大ジャンプ「ブリーチング」は、こういった寄生虫を落とすためのものではないか?という説もある。



 それを知っていたパコさんが、たまたま近づいてきたクジラからクジラジラミをとってやったのが、そもそもの始まりだったんだって。今では口コミが広がったのか、最初の個体以外のクジラたちも「取って取って!」とやって来るようになったそうだよ。

 通常、クジラに直接触れるのは許されていないのだが、このバハ・カリフォルニアの一部のエリアでは、クジラの方から寄ってきた場合に限り、特別に認められているとのこと。

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 だがこれも、長年船長を務め、クジラを知り尽くしているパコさんだからこそ。もし身近でクジラを見る機会があっても、つい手を伸ばしたりしないよう気をつけようね。

 パコさんがクジラジラミを取り除いてやっている映像はこちらから。


 フジツボの周りの赤みがかったやつがクジラジラミだ。

 クジラジラミの詳細な画像は、あえて掲載しないでおくよ。興味のあるお友だちは、自己責任でググってみてほしい。

written by ruichan

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