
以前マランダーで紹介した、廃列車に閉じ込められていた虎たちの救出作戦を覚えているだろうか。
あの作戦を指揮したアミール・カリール博士の属するFour Pawsのチームは、2015年にパレスチナのガザ地区の家庭で飼われていたライオンを保護することにも成功していた。今日はそのお話をしようと思う。
Advertisement
Advertisement
Baby Lions Are Rescued From A Living Room | The Dodo Go Wild
ガザ地区の家庭の居間でライオンが飼われている?
紛争の只中にあるパレスチナのガザ地区で、2頭の子ライオンたちが一般家庭で飼われている…! その状況を危惧した市民から、Four Pawsへと情報が伝わった。早速彼らを保護するための計画が立てられ、カリール博士たちは紛争地帯へと足を踏み入れることに。
この2頭はもともとガザ地区のラファ動物園にいたのだが、難民キャンプで暮らす家族のためにと、ある男性によって、生後3か月で動物園から買い取られて来たんだそう。
その後は男性の自宅の狭い居間で、子供たちと一緒に暮らすことになったのだが、1カ月もたたないうちに「猛獣」との暮らしは破綻を見せ始めた。

狭い居間での生活は、ライオンたちにとって理想的な環境とは言い難く、満足なエサも与えられていなかったよう。カリール博士たちが保護した時点で、2頭ともかなり痩せ細っていたそうだ。
レスキューチームが現地に到着・別れに涙する子供たち
それでも、男性とその子供たちが子ライオンにかけた愛情だけは本物だったようだ。これから子ライオンたちはヨルダンの保護施設に向かうのだが、紛争地域で暮らす男性一家は国外に出ることもままならない。いつか再会できる日が来るのだろうか。
ライオンたちとの別れを惜しむ男性の息子。

紛争のはざまで移送作戦は立ち往生
移送作業も困難を極めた。パレスチナ側のハマスと、イスラエル政府の両方から足止めを食らい、博士一行とライオンたちは、しばしホテルで過ごすことに。
マックスとモナという名前の2頭の子ライオンは、お互いに寄り添ってこの困難を耐え抜いたんだ。

終の棲家に到着!仲良く幸せに暮らす2頭
ようやくイスラエルを経由して、ヨルダンの保護施設Al Ma’wa for Nature and Wildlifeに到着。マックスとモナは、ようやく安住の地を見つけることに。
それから2年、子ライオンたちはすくすくと大きくなって、ヤンチャっぷりにも磨きがかかっているよ。

そして現在。オスのマックスには立派なたてがみが生え、「百獣の王」にふさわしい威厳を身につけたんだ。
マックスとモナは、今でも中の良い兄妹として、いつも寄り添って幸せに過ごしているとのこと。
「世界で最悪の動物園」からの救出
2頭がもともと生まれたラファ動物園は、戦禍もあって、とてもまともな飼育環境が整っているとは言えなかった場所である。
マックスとモナの救出から4年後の2019年に、カリール博士らはこの動物園から、40頭以上もの動物たちを救い出すミッションを成功させている。
その様子はカラパイアで特集しているので、ぜひこちらの記事も見てみてほしい。
written by ruichan
▼あわせて読みたい





コメント