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image credit:Instagram

 その家にはいつも素敵なメロディが流れていた。そこにはいつでもあふれんばかりの愛情があった。

 トルコのピアニスト、サーパー・デュマンさんは保護猫を愛猫として迎え入れ、計19匹の猫を飼っていることで有名だ。19匹という超多頭飼いではあるが、サーパーさんがInstagramで紹介してくれる猫たちにストレスは微塵も感じられないことはみんなもよく知っていることだろう。

 片目だったり片足だったり全盲だったり、ハンディを抱えた猫も保護しているサーパーさんのお宅で、先日悲しいニュースがあったようだ。全盲の猫、ヴェイセルが心臓発作で亡くなったという。

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普段は猫であふれているサーパーさんの投稿だが、数日前の投稿では石の置かれた写真が載せられていた。そこでサーパーさんはヴェイセルの死を報告していた。

お伝えし辛いことをお知らせします。私の希望のすべて、目に入れても痛くないほどかわいいヴェイセルが先日急逝しました。心臓発作でした。もう涙も枯れ、どんな言葉をここに連ねたらいいのか分かりません。彼は何よりも大切な存在でした。私の生きがいでした。私は自らの手でヴェイセルをここに埋めることとしました。


 その後の投稿でサーパーさんは心痛な思いを吐露している。

 ご心配くださる方々、ありがとうございます。ただ「大丈夫?」という質問を受けても「大丈夫です」とは言えないのが現状です。猫のことを我が子同様に思っている人たちならば、このつらさがいか程のものかご存知かと思います。

ヴェイセルは目が見えませんでした。それ故、ヴェイセルはほかの猫たちとは少し違う存在でした。ほかの猫たちよりも手をかけていました。そのため、ヴェイセルの死は私にとっては非常に大きなショックでした。

 現在は心身ともに参っているという状態です。しかし、他の猫たちを育てるという大事な役割はもちろん忘れてはいません。自分が落ち込んでいるからと言って、猫たちを見捨てることはできません。そういったご心配は無用です。

 今の私は我が子たちのために生きながらえているといって過言ではないです。世話が必要なわが子たちがいるから生きています。ただ私の心に埋められない大きな隙間ができてしまって、その隙間を埋めるべく葛藤しているのです。

 メッセージや、メールやコメントをくださった皆さん、本当にありがとうございます。皆さんが想像している以上に心励まされています。本当に、皆さんがただそこにいてくれるだけで感謝しています。


 サーパーさんが陥っている苦しみ、悲しみは、愛するペットとの別れを経験したことがある人ならば想像できることだろう。

 「何かがもっとできたかもしれない、あれをしてあげていたら、あれをこうしてあげていれば今日も生きていたのかもしれない。」様々な自責の念が自分から離れないのだ。しかし、過去の投稿を見てみればわかるように、サーパーさんはこの上ない愛情を猫たちに注いでいたのはみんなもご存知の通りだ。

1. 全盲のヴェイセルを引き取ることにしたサーパーさんは「引き取られたこの子たちが幸せなのでなく、この子たちと一緒に暮らせる僕が幸運なのです。」と以前語っていた。

2. 「僕の演奏を聴くことで、一瞬でもつらい過去を忘れてくれたらと思っています。」この一曲はヴェイセルに捧げたもの。

3. 急逝したヴェイセルだけれど、たくさんの兄弟姉妹猫にかこまれ、自分を誰より愛する飼い主のもと過ごした猫生はきっと何よりも恵まれた時だったのではないだろうか。


 ヴェイセルは、きっと虹の橋のふもとでおとなしく家族が来るのを待っているだろう。

 マランダー一員として、そして同じ猫飼いとして、サーパーさんの心の回復を祈っている。いつかまた愛情いっぱいのピアノの調べが聞こえてくることを信じてやまない。

written by kokarimushi

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