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 アニマルセラピーが日本でも話題に上がるようになっては来たが、まだ現実的にも意識的にも、普及しているという状況からは程遠いのではないだろうか。

 今日ご紹介するのは、病院や介護施設を訪問して、入院患者や入居者たちを癒して回る「セラピーホース」のお話だ。犬や猫、小鳥などの愛玩動物ならともかくも、馬が施設内に?とビックリしてしまうけれど、まずは記事を読んでみてほしい。
 
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Horse Therapy ~ Peyo The Love Stallion Visits Sick People

病院や施設を訪れる馬のセラピスト、ペヨ


 フランス中部の街ディジョンにある病院や介護施設には、一風変わったセラピストがやってくる。14歳の種牡馬、ペヨだ。

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 ペヨは走り回ったり遊んだりすることが大好きな、ごく普通の馬である。ただ一つペヨが他の馬と違うのは、病に苦しむ人間たちを癒すという特別な才能に恵まれていることである。

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 月に2回、ペヨは病院や老人ホームを訪れて、患者や入居者たちと優しい時間を過ごしている。

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 きっかけはペヨのオーナーのアセン・ブシャクールさんが、大切な人を失ったことだった。ペヨの才能に気付いていたアセンさんは、3年間にわたってペヨが病院などの施設の床を静かに歩くこと、また周囲の物音を気にせず落ち着いていられるように訓練をした。

 実は競走馬としての訓練がうまくいかず、一度はペヨを手放そうとしたアセンさんだった。しかしペヨは、「人を癒す」という素晴らしい才能を開花させたのだ。

ペヨの訪問を心待ちにする人々


 入院患者や高齢の入居者たちの中には、限られた空間で辛い時間を過ごしている人も多く、怒りっぽくなったり、ふさぎ込んだりする人も少なくない。

 だがペヨが訪れると、そんな人々の表情が明るく穏やかになる。歩けなかった人が歩こうとしたり、言葉を失っていた患者が一生懸命しゃべろうとしたり。

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 ペヨは確かに、人々に「癒し」を与えているのだ。
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施設内を自由に歩き、自分で患者を選ぶペヨ


 馬が病院の中に入るということに、抵抗を覚える人もいるだろう。もちろん衛生上の心配も少なくない。

 ペヨは施設の中に入る前に、徹底的に予防措置を受けている。たてがみや尾はきっちりと編まれ、蹄には蹄油が塗られ、そして全身に抗菌ローションが塗布される。その上に専用のコートを羽織ったうえで、院内へと入っていくのだ。

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 どの部屋を訪問するかの選択は、ペヨ自身に任されている。そして不思議なことに、ペヨには今一番自分を必要としている相手がわかるようなのだ。

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生まれついての癒し手、ペヨは天使なのかもしれない


 今日訪れたのは、余命いくばくもない男性の患者の部屋。
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 周囲とコミュニケーションを取るのも難しくなっていたこの患者も、ペヨとはすぐに心が通じ合ったようだ。

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 そんなペヨと患者たちとの様子に、医師たちも驚きを隠せないでいる。だがそこには説明の必要はない。ただありのままを受け入れるだけでいいのだから。

 老人ホームのスタッフも、ペヨの訪問は入居者たちにとって、大変ポジティブな影響を与えていると認めているそうだ。

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 オーナーのアサンさんは、ペヨの傍を片時も離れない。彼らは訪問する先々で、人々に平安と幸福を振りまく天使みたいだよ。


 日本でも「ホースセラピー」を実践しているところは増えているが、ほとんどが外でウマに乗ったり世話をしたりといった触れ合いを通して、心身を癒すというコンセプトで行われているようだ。

 病室にウマがやって来て……というのは、日本ではなかなか難しいのかもしれないね。

written by ruichan

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